2020年3月、新型コロナウイルス流行への対策として、小中学校が休校になりました。これを受けて、オンライン授業を実施しました。少し時間は経ってしまいましたが、その様子を紹介します。
突然の休校 !
3月に学校が閉鎖になりました。
当日学校でアーツ・インテグレーションの授業を行う予定だったのですが、授業があるかどうか不明なまま学校に行きました。
当日も情報が錯綜しましたが、翌日から休校ということになりました。
本当に急な話だったため、各家庭でも準備がないだろうと考え、急きょ知り合いの方に声をかけ、小学生、中学生対象にオンライン寺子屋を春休みまでの2週間開催しました。
平日9時から一時間半、内容はラジオ体操からはじまる運動、工作などのモノづくり、最後が算数という流れでした。
数人の小学生と大人あわせて全部で10人程度で行いました。
体育、図工、算数、意外にできるオンライン授業
オンラインで、しかも異年齢でどう授業になるのかと心配していましたが、全く関係なくわいわいと盛り上がった学びの場となりました。
体操は、それぞれ好きな動きを提案してみんなで動いたのですが、実は大人の方がすぐにゼイゼイしてしまい、子どもに教えているというより自分たちが運動になっている・・・という状態でした。
工作はオンラインでは手元が見えやすいのはいいけれど、他の人とどれだけ交流が生まれるかと思っていましたが、画面を見せるだけで様子が意外にわかりお互いの作品から何か感じ取ることができ活発な交流が生まれていました。
思いのほか楽しめたのが算数でした。算数は異年齢のため普通の問題を出しても無理があります。そこで中学3年生の男の子にお願いして、自分が勉強してきた、論理的思考を必要とするクイズのような問題を出してもらいました。解けない大人続出で、こちらも子どもの面倒を見るはずが、大人の頭の体操になっている状態でした。
小学生たちが主体的に動き出した
1日目を終えて帰りの会をしていると、小学生から意見が出ました。
「明日は、私たちも問題を出していいですか?」
もちろんお願いします。ということで、翌日に備えて小学生も問題を用意してくれることになりました
2日目からは算数の問題を出すのも慣れてきて、スケッチブックにマジックで問題が書いてあり見やすくなっていたりして、それぞれの子どもたちがいろいろな工夫をしていました。
ある日、大人の参加者が明日は用事があって参加できないとお知らせがありました。ところが、やっぱり明日は社会科見学にしていいですか?といわれ??と思っていると、なんと高知市で行われている朝市をオンラインでレポートしてくれました。
用水路に板を渡してそこに露店の店を構えるというアイデアの市です。オンラインのいいところで、――をもう一度見せてくださいとか、なぜ○○なんですか?とかその場で質問が飛び交い、答えてもらうという贅沢な時間となりました。まさか高知の社会科見学ができるとは思っておらず子どもも大人も盛り上がりました。
これを見た小学生が、
「私たちは来週近所の神社のレポートをします!」
と言い出しました。
小学生の姉妹が二人で神社の歴史を調べて原稿を用意し、当日はオンライン寺子屋の休み時間に神社に移動し、レポートをしてくれました。初めての人にはそのままおもしろいものですが、何度もその神社に行ったことがある私にとっても知らないことだらけで驚きました。
それよりより原稿を用意し、神社をくまなくレポートしてくれたのが小学生ということにびっくりです。
子どもだけでなく大人も楽しかったオンライン寺子屋ですが、開催してみてわかったことは、子どもたちは表現することや誰かと関わることに渇望しているということです。順番に子どもたちでリードしてくださいということを言わなくても、それぞれが自分のコンテンツを発表して、人と関わりたい、面白い問題を出してみんなを楽しませたい、という気持ちがたくさん伝わってきました。
大人も子供も活躍する、"ゆるい"オンライン寺子屋の可能性
大人もそれぞれのスキルを活かしてたくさん関わってくれました。大人もただ、授業を提供するだけでなく、子どもからも学べるという体験ができたのが興味深いです。お絵かき教室の先生が考えた工作のワーク(大人も夢中になるようなものです)は最後に子どもがそのワークのタイトルをいろいろと考えてくれました。また、子どもが先生役になってくれた折り紙の回もありました。
ある教科を学ぶという点では、塾や予備校が提供しているコンテンツはわかりやすく素晴らしいものだと思います。ただ、休み時間になるとみんなでぬいぐるみを画面の前でプルプルさせたり、ふと横切る猫の姿にほっこりしたりというゆるい寺子屋のよさも確実にあると感じます。